フリクソス（Phrixos）とヘレ（Helle）の兄妹は、王様の子供でした。
でも、２度目のお母さんはあまり優しくなく、
ついに２人は追い出されてしまったのです。
「おかあさま、僕たちの本当のおかあさま。
どうぞ、僕たちを助けてください。」
二人がお祈りをすると天から金色に光輝く牡羊が使わされました。
お祈りが通じて、おかあさんネペレ（Nephele）が、
神様ヘルメスから授かった金毛の羊を二人の元に差し向けたのです。
二人は、牡羊の背にしっかりつかまりました。
金の牡羊は、二人を背に乗せ空へ舞いあがると
凄い早さで東へ東へと飛んで行きました。
牡羊は、東の国コルキスを目指して飛んでいたのです。
二人乗せた牡羊は、ギリシャを過ぎ小アジアに差しかかりました。
「もうこれで安心だ。」
しかし、その時、妹のヘレは、下を見てしまったのです。
目がくらんだヘレは、思わず手を離し海へ落ちてしまいました。
牡羊も気付き振り向きましたが、時すでに遅く
ヘレは、海の底へと沈んで行ってしまいました。
・・・この時、振り向いた牡羊の姿が星座になったものが
「おひつじ座」。
おひつじ座の星座絵が振り向いているのは、このためです。
ヘレの落ちた海は、
彼女の名前をとって「ヘレスポントス（Helespontos）」と名付けられました。
この海は、地中海と黒海をつなぐ海峡付近にあたり、
現在は古代都市「ダルダネス」の名をとって「ダルダネス海峡」と
呼ばれています。
悲しみに暮れる兄フリクソスに牡羊は、そっと「勇気」を与えました。
フリクソスは、コルキスへと到着し
この地で幸せに暮したと言うコトです。