沼に住む蟹と蛇は、大の仲良しでした。
この蛇は、大蛇…人間達に大変に恐れられていました。
ギリシャ神話の豪傑ヘラクレスは、この蛇を退治にやってきました。
もちろん、人々に恐れられる大蛇ですから、そう簡単には負けません。
しかし・・・戦況は、ヘラクレス優性です。
初めは、物影からコッソリ応援していた蟹は、
友達の蛇のピンチにいてもたってもいられなくなりました。
「友情！」
蟹は、
自分が小さな小さな存在であるコトも省みず
大男のヘラクレスにそのハサミで戦いに挑みました。
「どうだ！ 痛いだろう！！ 参ったか！！！」
・・・というつもりで、
満身の力をこめ、ヘラクレスの足の小指を挟み付けました。
しかし、ヘラクレスは
「んん・・・？ 何か足がモゾモゾするなぁ」
と感じる程度・・・。
ふと見降ろすと
小さな蟹が顔を真っ赤にして自分の足の指を挟んでいます。
「きみきみ、今は忙しいんだ。そんな所に居ると怪我をするぞ・・・」
ヘラクレスが足をひと振りすると、蟹は天高く舞いあがりました。
己が小さな身であるにもかかわらず、友達の為に一生懸命戦った蟹は
その「勇気」と「友情」を神様に認められ星座になりました。
今も春の訪れを告げる星座として、輝いています。
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